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MONOSASHI file08

Sayaka Tanaka's MONOSASHI

​理想を実現する

WeWork日比谷パークフロントにて撮影

 

MONOSASHI file08は、特定非営利活動法人Waffle 理事長の田中沙弥果さん。アメリカで出会ったわくわくを胸に、日本におけるジェンダーギャップの解消に取り組む田中さんがこれまでの人生でどのようなモノサシに触れ、今何を考えているのか、田中さんだけのMONOSASHIについて教えてもらいました。

Q. 一番古い記憶で、他人から測られた経験はありますか?

 

小学生の時は、大人しくて真面目でしっかりした子と周りに言われてました。周りに言われることで、自分はそういう人間なんだなと自己認知していきましたね。児童会長などをやっていたわけではないし、委員長とかでもなかったのでちょっと謎ですが、周りの大人からはそういう風に言われていました。ただ、そういった周りの評価には囚われなかったですね。おとなしいとか言われていたけれど、やりたいことがあれば積極的に手を挙げていました。マラソン大会でも、「男女一緒に走る中で10位以内に入る!」と自分の目標を設定して、そこから自主練をして目標を達成するということをやっていました。

高校生までは自分のモノサシがなかっ

中学生になると思春期なので周りの目が気になり始めて、小学生で手を挙げてきたものに消極的になりました。きっかけは中学校入学後、学年を引っ張っていく委員長のような役割に手を挙げた時のことです。立候補したうちの1人が、誰からも好かれるような愛嬌のあるタイプで、愛想が良い子とか容姿がかわいい子に票が集まることを体験して。「なるほど、そういうことで測られる社会に入ったんだな」と理解して、そこから消極的になっていくという。周りの目が気になり始めて、前に出るとかやりたいことに対して発言をするのを徐々にやめていった時期ですね。

Q. 中学校で周りの物差しが気になり始めたんですね。その後、高校生になってからの選択で何か軸はありましたか?

 

高一の秋くらいに文理選択がありました。理系なら文系の学部にも進めるので、理系もありなのかなっていうのを思いつつ、親に相談しました。母が、薬剤師は国家資格だから、一度仕事を辞めても、場所が変わったとしても、仕事に戻れるといったことを言っていたので、薬剤師を目指して理系を選ぶことにしました。でもこの決断は、自分の軸より、親の一言が結構大きくて。正直なんでも良かったんですよね。自分がどうなりたいかっていうよりかは、周りの意見に左右されがちでした。高校生までは自分のモノサシがなかったです。

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We Work日比谷パークフロントにて撮影

何かが違う、自分ってどうなりたいんだっけ

Q. 田中さんにもそんな時期があったとは意外です。そんな学生時代から、起業した自分になりたいという像を描き始めたのはいつ頃ですか?

20代前半に就活をして、何かが違うと感じて。誰かに言われたレールに乗ってる感じとか、社会が正解とするところに行こうとする自分にもすごく違和感がありました。何かが違う、自分ってどうなりたいんだっけ、という思いを胸に試行錯誤するのに何年もかかりました。

私はテック企業で働きたかったんです。そのきっかけとなったのは、大学時代にアメリカのテキサス州に1年間交換留学をして、テクノロジーに出会ったことです。現地では、「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」という音楽と映画とテクノロジーなどを組み合わせたフェスがあって、会期中には街中のカフェで新しい技術に触れられたんです。私が2013年に見たのは、当時のサムスンのスマホで、スマホで書いた絵をTシャツにプリントしてもらえたり、食べ物をスマホで注文したりできました。今ではあたり前のことかもしれませんが、当時としては画期的で、スマホは電話するだけのものではなく、ビジネスとしても使えるということを初めて知りました。その時、イノベーションみたいなものを感じたんです。売れるかどうか分からないけど、みんなが街で新しい技術を展示して、触って、知って、フィードバックをもらって。日本でテクノロジーの展示と聞くと、カンファレンスや、小さなブースがあるイメージが思い浮かびますが、アメリカで参加した時にはクリエイティブブースもあって。今まで日本で思い描いていたテック業界と全然違ったんです。

 

Q. アメリカで見た光景が今の田中さんの原点なんですね。

そうですね。アメリカ留学が終わって、地元大阪に戻り、就活しようと思って、まずはIT関連の求人を調べました。でも自分が入りたいような企業が見当たらなくて、自分が就職したい業界すらわからない状態でした。アメリカでみたものは何業界っていうんだろう?というところからスタートして、情報も何もないので模索して。本当によく分からなくなり、メディア業界に一回足を踏み入れたんですけど、自分が思い描いていた仕事とあまりにも違いすぎてすぐに辞めました。その時、「アメリカで見たあの光景で働きたいのなら、自分で作るしかない」と思い、起業の道を考えはじめました。でも、起業してる人は周りに誰もいなくて、大阪で開催される「起業セミナー」などを片っ端から調べて、あちこち参加しました。「代表取締役すごいですね!いろいろ教えてください!」って声をかけて、いろいろな人と出会いました。そこからようやく起業×テクノロジーみたいな分野、いわゆるスタートアップと出会い、こういう業界の中で成功していきたいというふうに定まっていきました。

24歳ぐらいの時に、将来は起業してある程度成功した自分になっていきたいと思いました。そこからは、27〜28歳で起業すると仮定して、今やらないといけないことを逆算して考えました。起業経験が2、3回目のシリアルアントレプレナーのすぐ側で働きたいと思い、そこから起業家の方の弟子入りしました。ちょうど28歳で起業して、そこから成功していくために何をしていくのかっていうのを考えて行動。Waffleも皆さんのおかげで良い形になってきて、与えられるインパクトも大きくなってきているので、ある程度成功のレールに乗せられたかなと思っています。今は、じゃあ次の5年間何をするの?ということを考えています。

 

Q. 今まで計画通りということですか!

ありがたいことに。計画通りです(笑)。でもその計画を立てるまでが試行錯誤だったので、空白の時間はあったんですけど。

 

自分が羨ましいと思うものに近づける努力をしていきたい

Q. 自分の好きなように未来を思い描くだけではなく、その通りに実現していくのは簡単ではないと思います。秘訣はなんですか?

運を自分自身で引き寄せるためにちゃんと逆算することですかね。続けることは大事ですけど、努力の方向性を決める。むやみやたらにやってうまくいくわけではないので、どうやったらうまくいくのかを他の起業家さんの記事とかを読んで、なんで成功するのかを分析していました。そしたら共通の項目が見えてきて。「なるほど起業して2年後にはこの売上を目指すんだ!」というような感じで、紐解いていってそこのチャンスをとりにいくみたいな。

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We Work日比谷パークフロントにて撮影

Q. どのようになりたい像を立ててるのですか?

自分が羨ましいって思った時の「羨ましい」が自分が欲しい状態だと思っています。その「羨ましい」状態に自分を持っていけるように頑張る感じ。ずっと羨ましいって指くわえてるだけの人生が嫌で、自分が羨ましいと思うものに近づける努力をしていきたい。努力さえすば、「羨ましい」状態になるステップががいくつかあるはずなので。

 

Q. 田中さんの思い描く理想の社会とはどんな状態ですか?

日本社会のジェンダーギャップをなくしたいです。当たり前すぎて気づかないことが多いけど、たくさんありますよね。自然と女性とかジェンダーマイノリティの人の可能性を閉ざすような仕組み、価値観っていうのが日本に根付きすぎてる。それに対して気づける人はまだいいんですけど、気づけない人の方が日本では多い。ジェンダーギャップに対してアクションする人はもっと少ない。だから社会って大きく変わっていかない。私は、はやくそれをなくしたいと思っています。結婚の例を挙げると、例えば、男性が働いて、女性は無償で家事労働するのが当たり前という価値観はまだ根強くあります。仮に、その後離婚したら、女性はシングルマザーで賃金が低い状態に陥りやすいことも。企業の採用においても、履歴書の顔写真によって、女性・男性っていう風にバイアスがかかることもあるのです。一部の企業ではエントリーの際の写真や性別欄をなくして、バイアスがかかりにくくするなど工夫をしているのですが、まだまだ普及しないですよね。

Q. 田中さん自身の理想を実現するときは「羨ましい」という感情が原動力になっていましたよね。理想の社会を実現していくときは、何が源泉になるんですか?

この仕事をしていると、あらためて、世の中にはジェンダーギャップがたくさんあることに気がつくんです。女性だけではなく、男性にとっても生きづらい要因になることもあったりします。そして、それを変えることが難しいっていうのもわかってくる。だけど、私はめちゃくちゃもどかしいので、これは変だなと思ったらすぐ改善したい。自分が今30歳だから、10年後は40歳。今10年かけて目指している景色は、私が40歳で見たい景色とは全然違って、足りてないと思います。

自分のなりたい像に近づけるか否かが私の判断軸になっています。常に5年後、10年後の自分はどうなっていたいのか。自分という人間をどこのポジションに持っていきたいかということを考えます。そのために、今後も、今できることを逆算してアクションしていきたいと思います。

MONOSASHI編集長・HI合同会社インターン / 松井瞳

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