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MONOSASHI file17

Kanei Yamaoka’s
MONOSASHI

洗練された
美を生み出す

MONOSASHI file17は、山岡寛泳さん。岐阜で生まれ育ち、高校生の時に鯉のぼりブランド「泳泳」を立ち上げました。そんな寛泳さんが日々の中で何を感じているのか、これまで何を大切に生きてきたのか。今回は、山岡寛泳さんだけのMONOSASHIについて教えてもらいました。

Q. 読者の皆様に自己紹介をお願いします!

 

山岡寛泳です。2002年11月7日生まれで、岐阜県の田んぼが広がっている田舎で育ちました。18歳で上京してきて、現在は文化服装学院というファッションの学校に通っています。泳泳という鯉のぼりの活動は、16歳から趣味で始め、17歳で屋号をつけました。

 

Q. MONOSASHIの取材では、ゲストにお気に入りの洋服を着てきてもらうプチコーナーを実施していますが、今日はなぜこの衣装を選んだのですか?

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全体的にシンプルにまとめて、アクセントにカラフルなものを入れています。足元も、靴は普通だけど、靴下には柄や色をたまに入れて、ブリティッシュな感じだけど遊び心があるみたいな。あと、自分で作ったトレンチコートを着ています。こだわりは、コートの裏地がカラフルになっているところと、ウール素材で作ったところです。既製品でトレンチコートをウールで作ることはあまりないので、自分で作りました。

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Q. コートを自分で作ったとは驚きです!小さい頃からカラフルなものが好きなのでしょうか?

 

本当に両極端で、黒や紺などのシックな色と、鮮やかなカラフルな色が好きで、はっきり分かれています。小さい頃からシャツスタイルというか、正装のようなスタイルが好きでした。お母さんから聞いた話によると、幼稚園時代には帰宅したら制服からスーツに着替えて、毎日スーツで遊んでいました。当時の同級生が仮面ライダーが好きで変身ベルトを買うのと同じ感覚で、僕はスーツに憧れを持っていた。

 

ものを作ることで「日々の生活が豊かだな」と思える生産がしたい

 

Q. スーツで遊んでいる幼稚園生だったんですね!今はなぜ服飾の学校に通っているのですか?

 

ファッションの世界に進もうと思ったのは、憧れの人がきっかけです。高校生の時に「ものを作って価値を与えられる人になりたい」と思ったんです。それができている人にはどんな人がいるかなという視点で世界を眺めたときに、ファッションデザイナーに出会いました。彼らは自分と同じファッションスクールに行ってたり、ブランドをやっていたりして、自分もそういう人たちになりたいと思い、服飾の学校に行きました。

 

Q. 「ものを作って価値を与えられる人になりたい」と思ったきっかけはありますか?

 

いろんなものに影響を受けたけれど、特に明確に覚えているのは「君たちはどう生きるか」を読んだ時のことです。本の中で「消費者と生産者がいる」という視点を知った時に、自分はどのような生産をすればいいのかを考えるようになりました。ものを作ることで「日々の生活が豊かだな」と思える生産がしたいなって思った。喜びや楽しさを感じられるものづくりや、作る過程で仕事を作り出すものづくりをすることで、生活を少しでもプラスにしたかった。

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Q. 喜びを感じるものを作りたいとありましたが、寛泳くんが日々の中で喜びを受け取っている瞬間はありますか?

 

大きく分けて2つあります。まず、自然や歴史ある文化です。美しい自然とか、美しい伝統文化を見た時とかに感動して、そこからインスピレーションを受けたりします。もう一つが、素敵なデザインのものを見た時とか、クリエイティブなものを見た時に喜びを感じる。

 

自然はぼやけているからこそ、

自分の哲学や考えを解釈に載せて、それを表現できる。

 

Q.自然がインスピレーションになるとのことでしたが、寛泳くんがお気に入りの場所だというこの取材場所(天王洲アイル)もインスピレーションになりますか?

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水が好きなんです。僕がデザインしている鯉のぼりも水がモチーフになっています。水は、波が立っていても、立っていなくても、氷でも、湖でも、川でも、いつでも美しくって、空を照らしている。歯向かう感じがなくて、一番素直で自然体な存在だと思います。金属が錆びたら、どんなに綺麗に加工しても劣化してちょっと汚くなってしまう。だけど、水は錆びもしないし劣化もしないし、長くずっと新鮮なまま、人間が生まれる前からずっと強い存在だと思います。

 

Q. 水の美しさに気づける寛泳くんの感性が素敵だと思いました。自然から、どのようにインスピレーションを受けるのですか?

 

自然は、抽象的だからこそ自分の解釈を載せやすい。イメージでいうと、目が悪くて目の前がぼやけている人に、スマホを見せると間違って硯(すずり)だと思ってしまうことがあると思う。自然はぼやけているからこそ、自分の哲学や考えを解釈に載せて、それを表現できる。

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Q. ぼやけている余白が大切なのですね。自然の抽象的な部分から得た解釈をどのように活かしていくのですか?

 

アートやデザインは、コンセプトがあるものが評価される世界だと思っています。例えば、「火をモチーフにして、作家の力強さを表しました」という場合、作家の力強さというコンセプトを火のイメージで表現したことになる。コンセプトを表現するお助けアイテムに、自然というものはなりやすいのかもしれない。自然には、見えないコンセプトを目に見えるものにしていく力があると思います。

Q. 喜びを感じるものとして、自然以外にもデザインやクリエイティブも挙げていましたが、喜びの感じ方や、インスピレーションの受け方に何か違いはありますか?

 

自然は、作ることに視点をおいた喜びの話な気がします。一方で、いいデザインやいいクリエイティブを見ることで、自分の感情が動いたり、感動したりします。自然とは違って客観的に少し離れた場所から感じる喜びだと思います。「このデザイナーはこうきたか!」みたいな、スポーツを観戦している感覚。サッカー選手が、すごいテクニックでゴールを決めるのを見ている感じです。この2つに違いがあることは、僕も今初めて気がついたんですけどね(笑)

 

こだわりぬいた先にある、洗練されたものを生み出したい

 

Q.寛泳くんだけのMONOSASHIを教えてください。

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妥協しないことは、すごく大事にしています。妥協しないというのは、こだわりをこだわり抜くこと。僕自身も洗練されたものが好きだし、洗練されたものに影響されてきた。洗練するために妥協しちゃいけないと思っています。「これでいいや」「まだこんなもんか」というのをなるべく無くしたい。

それから、美しいものを見ないと、美しいものは作れない。景色も、作り出した作品も、食べ物も、着る物も、いいものを自分の中に入れないと、いいものは作れない。だからこそ、常に美しいものを見ていたいです。

 

Q. 最後の質問です。これからの寛泳くんについて教えてください。

 

世界にプラスになることをしたい。すごく長いスパンだけど、自分が生きている間に世界に対してプラスなことをして、自分が死んだ後に「山岡寛泳がいてよかった」と言ってくれる人がいるように、人生を全うしたいです。日常の中でも「ちょっと掃除してくれて嬉しい」みたいな、とにかくプラスになることをしていたいな。

 

この記事も化石のように長く存在し続けるものになって欲しい。記事って大量消費されるイメージだからこそ、未来でもふと読み返されるようなものになってほしいです。

MONOSASHI編集長・HI合同会社インターン / 松井瞳

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interviewer : Hitomi Matsui , Ryoma Iizuka

editor : Hitomi Matsui , Mashiro Takayanagi

photographer  : Masato Goda

creative designer : Sawako Hiramatsu , Mashiro Takayanagi

character designer : Rei Kanechiku

 

location  :  Tennōzu Isle

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