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MONOSASHI file22

Kazuto Chuma’s MONOSASHI

我がままであれ

MONOSASHI file22は中馬一登さん。出身地である京都を舞台に三兄弟で株式会社MIYACOを立ち上げた後、現在は独立して株式会社一(いち)を作り、若者の犯罪率の課題に取り組んでいます。周りを巻き込み、常に新しいこと、難しいこと、面白いことに飛び込む中馬さん。今回は、京都で中馬さんだけのMONOSASHIについて教えてもらいました。

Q. MONOSASHIを読んでくれてる方に向けて簡単な自己紹介をお願いします!

中馬一登という人間です。2014年に三兄弟で株式会社「MIYACO」を作り、日本が誇るサービスを作って世界を良くしていくっていうのをモットーに事業をしています。僕たちは「我がままであれ」ということをすごく大切にしてきました。いかに自分らしく「我がまま」に生きられるかということを体現する会社としてMIYACOを作ったはずなのに、我がままが行きすぎて、独立したという究極の我がまま人間です(笑)。

新しく僕が作った株式会社「一」では、「HIGH HOPE」という少年院の中のプログラムを作ったり、少年院から出てきた後のキャリアのサポートをしたり、トラウマや依存症の治療などをして行きながら、再犯率を下げていくということをやっています。

Q. MONOSASHIの取材では、ゲストにお気に入りの洋服を着てきてもらうプチコーナーを実施していますが、今日はなぜこの衣装を選んだのですか?

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起業してから、たどり着いた究極の1セットが、黒デニムに白Tです。ただ白Tにも一つ条件があって、乳首が浮き立ちにくいかどうかで選んでます。実は今、乳首が浮き立たない白Tを刑務所内で作ろうとしています。

 

Q. なぜ乳首の浮き立たないTシャツを作ろうとしてるのですか?それもまたなぜ刑務所内で?

 

この理由としては、僕含め、白Tシャツ着てる人の中には乳首が浮き立ってないかを気にしてインナーを着たり、サイズをビックサイズにしたりしてる人が一定数いて、そんな人達にも堂々と白Tシャツ一枚で日々を過ごしてもらうために作っています。

しかも、これだけたくさんのアパレルメーカーがあるのに一枚も完璧に乳首の浮き立ちをカバーできている白Tシャツがないのもあって、もしこれができたら業界もやし、僕と同じように乳首を気にしている一定数の方々にも支持されるし、作ってるのが刑務所だと更にニュースバリューがあると思ってこのプロジェクトに取り組んでいます。ここにも乳首を気にする人にとって大きな希望があると思っています(笑)。

 

Q. ただ作るのではなくて、刑務所で作ることに意味があるんですね。そのアイデアを思いついた経緯を教えてください。

 

犯罪は社会構造に原因があると思っている。もちろん本人が悪いことをしたんだけれど、それに至る前に止められたんじゃないかと思うんです。家庭環境、学校教育、友達や部活動の関係、学校の評価制度や進学など、様々な部分で「本人と家族だけの問題ではなくて社会構造に原因がある」と思っている。このTシャツがもし完成して、刑務所でしか買えないTシャツとしてメディアに取り上げてもらったとしたら。「乳首の浮き立たない白T」という商品を通して、多くの人に犯罪にまつわることを知ってもらえると思ったんです。

 

「我がまま」は、自分の理想状態

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Q. 早速ですが、中馬さんさんだけのモノサシについて教えてください。

 

やっぱり「我がままであれ」かな。これは、「MIYACO」の創業からもそうだし、今も自分がとても大事にしている考え方の一つ。カタカナの「ワガママ」ってすごく自己中心的に捉えられたりするんだけども、漢字の「我がまま」は、自分の理想状態。自分の中の強みや弱みを踏まえた上で、自分にはこういうことがやりたいという素直な気持ち、それをどうやったら叶えられるかを知恵を絞ってアイデアを出して、いろんな人を巻き込んでアクションとして形にしていくことが「我がままであれ」の中では大切な概念なんです。

 

Q. 「我がまま」と「ワガママ」はどう違うのでしょうか?中馬さんの「我がまま」の哲学をもう少し詳しく聞きたいです。

 

本当に僕が自分のことだけしか考えなかったら、人が離れて行ってしまう。人が離れていくと、仲間がいなくなって協力もしてもらえないから我がままじゃなくなるんです。お金もないし、アイデアもないし、我がままが体現できなくなる。だから、究極の我がままを実現するには、近くにいる人や仲間を豊かにする、幸せにする、得させる、勝たせるっていうことをしないといけない。だから、自分のやりたいことに挑戦しながら、ちゃんと周りの人を幸せにしていくということをバランス良く両立していかないといけないんです。社会のためを優先して自己犠牲になってしまったり、自分だけ得しようとして人が離れていってしまったりするのではなくて、このバランスを取り続けることが究極の我がまま。僕は「我がまま」が究極の幸せやと思うし、そこにずっと挑戦してる。

 

希望を生み出したいという欲がすごくある。

これは、僕の本能。

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Q. 中馬さんはやっぱりずっと自分の「我がまま」に正直ですね。今の活動は、しっくりきていますか?

 

しっくりきてやっているな。「我がままであれ」の他にモノサシがあるとしたら、希望を生み出したいという欲がすごくある。これは、僕の本能。僕の本能だけど、人間は希望を求めていると思っています。みんなができないと思っていることを、その人が努力をしてできたときに、こんな人もいるなら自分もできるんじゃないかなと、人々は希望を自分に当てる。そのマイナスとプラスの差があればあるほど、希望を感じられると思っています。希望を感じて感動したら、理屈じゃなくて自然と涙が出る。ということは、人間は感動するようなことや希望を生み出すことを求めていて、生存していくためにはそういうのが必要なんだと思います。時代が変わろうが、常に希望を生み出し続ける人間はどの時代でも重宝される。うちの新しい会社も、希望を生み出せる集団でいたいです。

 

自分と向き合うために、1人でサウナに行く。

サウナ=自分の今抱えている課題や会社の方向性を1人で向き合う時間とルール化しています。

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Q.「希望」も中馬さんにとって大切なキーワードなんですね。このようなモノサシはどのように言語化されていくのですか?

 

すごく自問自答します。自分と向き合うために、1人でサウナに行く。サウナにある露天風呂に入りながら、「なぜ俺は希望を生み出そうとしているのか」「なぜ俺はこれがしたいのだろう」みたいなことを考えて、本質と向き合う。それを繰り返しながら、考えて得た気づきを事業や組織に反映させて、また学んで、また進化して。サウナ=自分の今抱えている課題や会社の方向性を1人で向き合う時間だとルール化しています。

 

Q. 自分と向き合うためにサウナに行き始めたのは、いつ頃ですか?

 

前の会社を創業した10年前から続けています。週に一回、1時間くらいでサクッと行く。会食前のサウナって最高なんです。基本的に、一日一食しか食べないから、お腹も減って、サウナで整ってる。その状態で好きな仲間たちと食べるご飯とお酒は、最高です。

 

僕は日常生活に「バグ」を入れとかなあかんというか、

定期的に仕掛ける経験をして「ゾクゾク」していたい

 

Q. 10年前から続けてるとは、驚きです。ところで、一日一食しか食べないのですか?

 

ここ5年間は、夜に仲間とたくさん飲んでたくさん食べるから朝昼は食べないことが多いです。体に良くないから、絶対にしない方がいいけど(笑)。

でも、そこまでの境地に行くことも僕には大切で、定期的におかしいことをした方がいいと思う。自分の中の常識やルールを定期的に壊さないと、人生においての判断に慣れてしまう。それがいいこともあるけれど、僕は日常生活に「バグ」を入れとかなあかんというか、定期的に仕掛ける経験をして「ゾクゾク」していたいと思ってる。

海外の危ないところで本当に拉致をされたりとかね、動物に襲われたりとかね。ほんまにいろんなことがあったけど、それも全部、頭を使って乗り越えないといけない。慣れちゃう自分の枠を越えていかないといけない気がしています

 

Q. 自分のできることに慣れてしまう感覚、とてもよく分かります。中馬さんにとって、「ゾクゾク」とはどんな感情ですか?

 

ゾクゾクは、わくわく的な希望もあるんだけども、ちゃんとリスクもある状態。もしかしたら死ぬかもしれない、会社が潰れるかもしれない、借金を背負うかもしれない、仲間を失うかもしれない、みたいなリスク。希望とリスクのバランスが7:3から6:4ぐらいの状態がいっちゃんゾクゾクする。「これおもろいけど、失敗したらやばいな」っていうゾクゾクが僕は一番楽しい。

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Q.「ゾクゾク」、最高です。どんな人にこの記事を読んでもらいたいですか?

やっぱり若者に読んでほしい。自分より下の世代に読んでほしいなと思う。僕は、出光佐三や渋沢栄一がとても好きなんです。彼らは亡くなっているのに、魂、存在、志みたいなものは時空を超えて残ってるんです。めちゃくちゃこれが美しい。人間は死んでいるのに、その人が作った魂、志、想い、価値観、考え方、それこそモノサシみたいなものが100年超えた未来の日本人に刺さってて、なんなら生きる希望になったりするわけ。やっぱり僕はそういう人間になりたいなっていう我がままがあるから、僕はHIGH HOPEというブランドを作った。今僕が見ている世界観が本当に形になっていったら、別に歴史上に名を残す人物になりたいという欲ではないんだけども、おそらく残っちゃうだろうなと思うのは、もう僕のDNAが言ってます(笑)。

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MONOSASHI編集長・松井は、高校生時代に中馬さんの会社でインターンをしていました。笑顔の再会です!

Q. この記事が中馬さんの生き方を残すような記事になればいいなと思います。

 

だいぶやばい記事やと思うな(笑)。こんな話、こういう取材でしたことないもん。いつもの取材の時は、もっとちゃんと話してるわ。ちゃんとって言い方変やけど。

MONOSASHI編集長・HI合同会社インターン / 松井瞳

interviewer :Hitomi Matsui 

editor : Hitomi Matsui , Sawako Hiramatsu , Ryoma Iizuka

photographer :Ayane Muro

creative designer : Sawako Hiramatsu , Mashiro Takayanagi

character designer : Rei Kanechiku

 

location  :  Kyoto

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