MONOSASHI file06
MONOSASHI file13
Momoko Kurokawa’s MONOSASHI
「善いこと」を貫く。
MONOSASHI file13は、黒川桃子さん。黒川さんは、大学で経営学を学んでいます。常に自分の理想の社会を描き、実現するための様々な活動を行ってきた黒川桃子さんだけのMONOSASHIについて教えてもらいました。
Q. 読者の皆さんに自己紹介をお願いします。
最近22歳になった黒川桃子っていいます。ももって呼んでもらえると嬉しいです。趣味はスクラッピングブックを作ること。以前は漫画も好きでしたが、漫画好きって言うとみんなが「この作品知ってる?」とか聞いてくる。知らないって言うのも申し訳ないし、合わせないといけない感じがあった。ただ、好きな気持ちで漫画を楽しんでいたはずが、 「新刊買わなきゃ」「これも読まなきゃ」ってのに追われてしまい、趣味が能力や量に依存することが嫌だなと思いました。自分だけの好きな趣味ってなんだろうと考えた時に、スクラッピングブックがぴったりだと感じました。やっている人が少なくて、「やっている自分そのもの」が好きでいられるから。キュンってしてマスキングテープ買っちゃうし、自分が作ったものにキュンってなったりとか。だから趣味はスクラッピングブックです。
自分を肯定してあげられることで、心がレベルアップする
Q. MONOSASHIの取材では、ゲストにお気に入りの洋服を着てきてもらうプチコーナーを実施していますが、今日はなぜこの衣装を選んだのですか?
今日は、八田エミリさんの影響でグレーのカラコンを入れています。洋服は、カラコンのグレーに合わせて、ちょっとシックな感じにしてみました。実は私、昔は整形したいとずっと思っていて。小学校の時に見た目に関して嫌なことを言われた時から「あ、自分って別に可愛くないんだ」って思っちゃって。だから、自分は明るくて面白くないと、人から好かれないと思い込んで、面白いキャラにし続けてきたつもり。大学に入っても、メイクや美に対する意識も低く、すっぴんだったりして。でも、ある人から「纏っているキャラにとらわれて本当の自分のこと可愛いと思ってないからいけないんだよ」と言われ、自分のこと可愛いって思えるようになりたいなって思った。「私もあなたも可愛い、みんな可愛いでいいじゃん」っていう友達の言葉にも影響を受けて、最近はメイクも頑張っています♪
Q. 友人の言葉で可愛いに対する考え方に変化があったのですね。具体的にどんな変化がありましたか。また、可愛い、可愛くないというモノサシは敵ではないのですか。
可愛くなりたいって思う自分を肯定できるようになってから、最近では、撮影の被写体をするようになりました。撮影でも、可愛いって言ってもらえて、めっちゃ自己肯定感があがるんです。自分を肯定してあげられることで、心がレベルアップするじゃないですか。だから、敵みたいな意識はない。私のこと可愛いって思ってくれる人もいるだろうし、全く思わない人もいるだろうなと思えるから、自分が自分を肯定できる存在でいたいです。
綺麗なものだけを追いかけていたい
Q. 自分を肯定してあげるってすごく難しいけど大切なことですよね。ももさんは、どんな性格ですか?
私は無茶な理想主義者。現状に違和感を感じやすいタイプだから、それを放置しないようにしています。例えば、学生団体に入った時、コロナで活動が難しいなか、先輩が不満を言っているのを見て、「文句を言う前にもっとできることあるじゃん」と感じました。団体の理想は素敵だから活動したいし、自分が文句言う人ではありたくないって思ったから、団体内の選挙に出たりして自分で行動を起こしました。
Q. 違和感を放置したくないと思うようになったきっかけはなんですか?
過去出会った1人の先生です。先生が見ているからしなさい、感謝されるためにしなさい、みたいにいわゆる偽善的な指示ばかりで、毎日怒られていました。今振り返ると、その先生が価値観を押し付けてきたのが嫌だったのかもしれません。最近も人間ってすぐ嘘つくなと思う。息を吐くように嘘つく人が多いなって。私は言葉通り受け取りがちだから、 大人のずる賢さみたいなのに嫌気がさして、綺麗なものだけを追いかけていたいと思っている。「こんな社会だったら」みたいな理想もその中の一つかな。
理想を追いかけるとは、明確にゴールを持って達成すること
Q. 中学生の時の経験が今の考えにつながっているのですね。ももさんの将来が楽しみですが、大学卒業後はどんな進路に進むのですか?
私は将来、大学院に進学したいと思っています。なぜなら、経営学やデータサイエンスをもっと学んでから、より効果的でインパクトのある意思決定ができるようになりたいからです。
Q. 経営学に興味を持ったきっかけはありますか?
経営を学びたいと思ったのは、私の家族がめっちゃ資本主義だったから。テストでいい点を取ったらお小遣いがもらえたり、怒られると罰金制度があったりするような家庭でした。小さい時にも、小学校1年生の時に下校中に森で玉ねぎを拾って、これ売れるかもって思ったんです。玉ねぎを売ろうと往復3時間歩いてスーパーに行ったけど、結局売れず、バーベキューになりました。この他にも、小学生の時の将来の夢が国立印刷局で働くことでした。お札の絵が綺麗だったから、お札の絵を描く人になりたかったんです(笑)。
今思えば、小さい時から何かとお金と結びつけて物事を考えていたかもしれない。今はお母さんが投資を教えてくれていて、お金に関してはずっと敏感だからこそ、経営に興味があります。
Q. 玉ねぎを拾って売ろうと思う小学生がいることに驚きです。ももさんにとって理想を追いかけるとはどんなことですか?
明確にゴールを持って、達成すること。そのために、自分を少し犠牲にしてでもどうするかを考えることだと思います。めっちゃ言い方悪くすると、自分含めてその人間は、何かを達成するための手段なんだと思っちゃう。掲げた理想を達成しないと、多分負けず嫌いなのも含めて気が済まない。
例えば、学生団体で支部代表を務めていた時、他の支部の代表たちが次の年の方針を決める大きなミーティングがありました。だけど、内容を理解できていない人もいる中で、当時の先輩たちが怖くて指摘できない雰囲気が漂っていました。支部代表を決める選挙に通って信頼されているはずなのに、なんとなくで進められるのが納得いかず、分からないことをそのままにすることが許せなかった。だから私は、めっちゃバカなふりをした。自分が率先して分からないことを言ったりして、みんなが適当に決めようとしてるものを、ストップさせました。今振り返ると、これはちょっとミスだったんだけど(笑)。
Q. いろいろ聞いてきましたが、最後に今のももさんの理想はなんですか?
素敵な家族で世界を溢れさせたいです。みんなのいい暮らしに寄与したいと考えています。正直、「素敵」を私はまだ定義できていなくて、素敵な家族ってなんだろう?って常に考えています。だけど、私が死ぬときに、1つの家族、1人でも多くの人を幸せにできたら満足だと思って生きています。
Q. この理想を抱いたきっかけはありますか?
中学生で死んだ方が価値があると思っていた時期に、両親にはそのことを言えなかった。だけど、友達の家にピンポンも押さずに「ただいま」って言ったら「おかえり」と迎えてくれたんです。全てを包み込んでくれる温かさがあったし、血の繋がりだけじゃないなって思ってすごく救われた。でも一方で、自分がどんだけ醜いなって思っても、好きでいてくれる両親の存在にも感謝しています。それから、家族や友達という安全地帯を強固にすることで、自分の挑戦や好きなことができるんじゃないかと思うようになりました。だからこそ、素敵な家族っていうものを増やしたい。それから、死んだ方が価値があると、今は思ってないけれど、「生きているなら価値ある存在」になりたい。「生きてるだけで価値ある存在」じゃなくて、生きるなら価値を見出さなきゃいけないって思っちゃう。だから、日々、価値ある存在であるために全力で生きてます!
私のモノサシは、損得よりかは善悪を基準とした上で「納得する方を選ぶ」ことかな。自分が苦しいのに選んじゃうこともあるから、自己犠牲もしがち。それをちょっと直したいなと思いつつも、直せないのが自分だなと思う。偽善が嫌いっていうのもあるから、自分が心の底から「善い」と思うことを貫きたいです。
MONOSASHI編集長・HI合同会社インターン / 松井瞳