top of page
スクリーンショット 2023-01-26 0.25.51.png
​MONOSASHI file06
image2_edited.jpg

MONOSASHI file09

Hana Iida’s MONOSASHI

自分の心に
話しかけにいく

MONOSASHI file09は、飯田華菜さん。シンガーソングライターとして活動しながら、芸能の専門学校に通う飯田さんですが、どんなモノサシを軸に今の道を進んでいるのか、飯田さんだけのMONOSASHIについて教えてもらいました。

 

Q. 幼い頃、誰かの物差しで測られた記憶はありますか?

 

小学校4年生の頃から塾に通ってたんです。その頃は大学進学が当たり前という、暗黙の了解みたいな空気感が流れていた。塾でも家でも「志望校どこにするの?」と当たり前に聞かれて、行かない選択肢がない雰囲気が流れていました。塾に行くことになったのは、お姉ちゃんが行ってて、だから私も行くみたいな。昔からお姉ちゃんがやってきたことと同じことをするのが自然な流れでした。私は基本的に、好奇心旺盛なんで。絵を描いたり、そろばんをやったり、昔からいろんな習い事をしていました。いろんな経験をお姉ちゃんと一緒に、もしくはお姉ちゃんの後を追うようにやっていた。そんな風に始めた塾も、最初は楽しみながらやってたけど、徐々に辛くなっていきました。勉強も難しくなってきて、だけどそこに拒否権はない。1回決めたことを途中でやめることがあまり許されない家で、とりあえず続けてみなって言われていたから、「とりあえず」がずっと続く。そんな小学校生活でした。

 

周りと自分の違いが嫌だった。

 

Q. お姉さんの影響を大きく受けているのですね。塾を続ける上で感じた辛さの正体は一体なんだったんでしょうか?

 

私が辛かったのは、単純に勉強は嫌いになっていく一方なのに、それでも塾を辞められなかったから。私は好きなことしか頑張れなかったから、なんで他の人は嫌いな勉強ができるんだろう、マジでこいつらすげーなって思っていました。ピアノも習っていたけど、興味が湧かなくて、辞めたかったんです。親にそれを伝えたら、「とりあえず続けていれば、何か身につくから続けてみて」と言われて辞めさせてもらえませんでした。その時は、お金が無駄じゃないかと思っていたけど、今はすげえ感謝しています。

他にも学校とか、きつくて休んじゃう子とかいるじゃないですか。平気にさぼっちゃう子とかも周りにいたけれど、親はそれも許してくれなかった。簡単に辞めない、諦めないって、今の自分にとってめっちゃ必要で、めっちゃ大事な力。もしあの時学校を休んだり、さらっとピアノを辞めちゃったりしていたら、今の自分はこの学校を続けてるのかなとか、この夢追いかけられてるのかなって思うことがあるから、今は親に感謝してるかな。でも当時はめっちゃ嫌だったね。周りは、頭痛いとかで学校休んでんのに、頭痛いって言っても、「ほんと、頑張れ」しか言われないんだよ。熱が37.5度を超えたら休ませてくれるんだけど、ただの体調不良だと休ませてくれなくて。とりあえず行ってみて、辛かったら帰っておいでみたいな。そこは、なんでうちだけ休めんのっていう怒りはあったかな。周りと自分の違いが嫌だった。

IMG_7104.JPG

Q. その怒りが疑問や違和感に変わった経験はありますか?

 

高校2〜3年生になって、project:ZENKAI(https://project-zenkai.jp/)やハッシャダイソーシャル(https://social.hassyadai.com/)のコミュニティとかに参加するようになって、価値観とか考え方とかについて考え始めた。ハッシャダイソーシャルに出会ったのは、そうちゃん(三浦宗一郎さんの記事はこちら)が学校に講演に来てくれたことがきっかけです。当時は、価値観という言葉すら知らなくて。今まで、他の家と違うことに対して怒りとかはありつつも、飯田家に産まれたんだからしょうがねえか、と思っていた。でもいざ考えてみると、これって当たり前じゃないのかなって。他の家はこういう価値観とか考え方で出来上がってるなとか、そういうことについて考え始めたのが高校2〜3年生の時だった。

挑戦するっていう初速が速くなった

 

Q. 新しいコミュニティとの出会いによって実際にどんな変化がありましたか?

 

プロジェクト中、大学生スタッフとして中高生との対話をする上で、コミュニケーションの取り方は変わったかもしれない。相手を知ろうという前提で話すようになりました。それから、挑戦するっていう初速は速くなったのかも。これまではチキっちゃうのが飯田華菜だったけど、迷った時にすぐやるようになった。それはもちろん、応援してくれる人が増えたからっていうのもあるかもしれないし、やることで学んだことがあるからっていうのもあるかも。

例えば、いつもお世話になってるライブハウスの人がライブのオファーをくれるんです。昔はペーペーの素人で、大したライブもできないくせに、オファーを受けるかどうか悩んでたの。「わかりました。お誘いありがとうございます。ちょっと考えさせてください。」みたいな。期限ギリギリまで考えて、答えを出すことをしていた。それは、ライブに自信がなかったのもそうだし、自分のスケジュール大丈夫かなとか、自分のメンタル保てるかなとか。それは今もそうなんだけど、ライブが近くなると病んでくるのさ私。だから、期限ギリギリまで考えることが多かったけれど、今は即決で返すようになったなって思う。

image3.jpg

一番の支えとなってるのは、かっこいい大人たちと出会うこと

 

Q. ライブ前にそんな一面があったとは意外です。飯田さんは今どんな道を進んでいるんですか?

 

実はこれまでずっと美容師になるのが夢でした。小学校ぐらいの頃から、通ってた美容院に「ここに就職する」と一生言い続けてたぐらい、美容師になろうと思っていました。でも、中学三年生の時、決められたルートを辿れば美容師になれるじゃんって気が付いたんです。美容師さんに怒られちゃうかもしんないけど、その時に私は美容師になることに対して「うわ、つまんね」って思っちゃったの。その瞬間に魅力が消えちゃって。もっと周りの人と違うことがしたいと思うようになった。自分がやってるものの中ではそれが、演劇だった。だから、役者になろうとしたんですが、音楽を始めることになって。そしたら、音楽も楽しくなっちゃって。でも、芸能の世界は生き残れるかどうか、天と地みたいな世界だから、みんなからは無理だよっていう目線はされる。表面では「頑張ってね」って言ってくれるけど、何となく伝わってくる。家族からも本当にやるの?マジで?って言われる。何回も心が折れかけるけれど、一番の支えとなってるのは、かっこいい大人たちと出会うこと。かっこいい大人たちのこれまでの人生を聞くと、あれ、人間って案外生きていけるやんと思えるんです。金がなくても、ご飯がなくなっても、知り合いの家を1日ずつまわっていけば、生きていけるやんって。人間は案外死にやしないって思うようになってから、ポジティブに夢を追いかけられていると思います。行けるとこまで行ってみようぜっていう。何でもありだしどんな形でも生きていけるんだと考えるようになってから、いろんな選択肢が増えました。同時に応援してくれる人が増えたし、仲間が増えたから、怖いものも減ったという感じです。

image1.png

好きなことを、好きなうちにやり続ける。好きとか、興味が湧くとか、自分がわくわくしたかどうか。これは本当に直感と重なる部分があるけれど。嫌いなことをやるときも、やらなきゃいけないことでも、最小限に抑えて、本当に最低ラインでやって、好きなことは好きなだけやる。昔から、正直だねと言われてきました。人に対して嘘をつけない。

 

Q. 自分に真剣に向き合っているということですか?

 

最近大切にしようと思っているのは「自分には素直にいよう」ということ。自分の心に自分から話しにいっちゃう。本当に疲れてないって言いまくってやり続けて、自分を苦しめるんじゃなくて、ちゃんと疲れてるんじゃないの?って聞きまくる。だから今も落ちていかずに生きていられている。まじ会話しに行くの。「何食べたい?」って、ABCくらいいるの、はなの中には。

A:「カレー食べたくない?」

B:「いや、うどんも食べたくない?」

C:「いや、マジでわかるわかる」

みたいな会話ずっとしてんの私。

 

Q. 今回のインタビューを通して飯田さんは自分のことを言葉にするのが上手だと思いました。シンガーソングライターとして飯田さんが大切にしていることはありますか。

 

昔から一生ポジティブ人間で、あなたがネガティブなら私がポジティブ変換するから、何でも言ってねみたいなスタンスでいました。だけど、それを続けた結果、飯田華菜はそういう人、になっちゃった。周りから「悩みないでしょ」とかサラッと言われる。でもほんとはあるわけよ、前に出していないだけで。それでも、後ろ向きなものは見せないべきだと思ってたから。「ないです!」って答えていた。でも、なんか苦しくなったの。「いやあるわ!」っていう怒りモードに変わった瞬間があって、それをnote(https://note.com/iiida87)で発信し始めた。曲でも書けるっていうのは、言葉だけじゃなくて曲でしか表現できない要素があると思う。自分には音楽しかないだけで、例えば皿を作る職人だったら、その皿に想いを込めることもできるわけで、絵を描く人ならそこに想いを乗せられるわけで。私にはそれが音楽しかなかったから、私の曲(https://www.youtube.com/watch?v=okR0jQTyx58)は「こんな飯田華菜もいるんだぜ」っていうことを知ってほしい!っていう怒りからきているかもね。

MONOSASHI編集長・HI合同会社インターン / 松井瞳

bottom of page