【IVS2023 KYOTO特集③】
IVS2023 KYOTOの創り手は、何を求めてIVSヘ?
〜IVS運営メンバー編〜
2023年6月28日から三日間に渡って京都で開催されたIVS2023 KYOTO / IVS Crypto 2023 KYOTO(以下、IVS)。今年から招待制を廃止し、チケット制を導入したことで他分野の人が参加できるイベントに生まれ変わり、さらに熱気を増したIVS。
私たち「MONOSASHI」は、IVSを創り上げるスタッフに注目し取材を進めました。
IVS2023 KYOTOの創り手は、何を求めてIVSヘ?
第三弾では、大規模な組織を引っ張るIVS運営メンバーの皆さんにお話を聞いてきました。今回の目玉となったIVSのクリエイティブを手がけたデザイナーさんや、大人数のスタッフの取りまとめなど、十人十色のメンバーで構成されている運営メンバー。
それぞれがどんなモノサシを胸に何を求めてIVSヘ集っていたのか。その想いを聞いてきました。
誰もやったことがないなら、
誰も見たことがない世界がある
Q.IVSとはどのようなきっかけで繋がりを持ったのですか?
IVSのメンバーの方々との繋がりは、約2年前に、京都のスタートアップ支援やエコシステムを拡充するに当たって、私達のアドバイザーさんにご相談に行ったことが始まりです。アドバイザーさんとお話をする中で、京都の不足している部分として、スタートアップ的なビジネスモデルで成長を遂げた企業数がまだまだ少ないことや、投資機関集積も首都圏に比べて少ない点が挙げられました。既にそういうコミュニティがIVSを通して出来上がってるから、IVSと京都府で連携をすることで共通の課題解決に繋がるんじゃないかというご助言をいただいたところから、イベントの話し合いをしてきたっていう形ですね。
Q.中原さんはどんな想いを持ってIVSヘ?
IVSの組織自体が、私みたいにフルタイムで業務に携わる人だけではなく、別の事業をされながら、プラスアルファの時間で関わってる方が大部分を占めていると思うんです。能動的に関わってる方が多くを占めるからこそ組織のパワーってすごい。業務としてここまでしなさい、がないから、いいと思ったことをひたすら突き詰める。もう誰もNOって言わない組織です(笑)私はどんどんポジティブに意見を出していく場が本当に貴重だと思ったんですよね。だからこそ、京都府としてやれることは精一杯やっていこうという思いで取り組みました。みなさんのアイデアが成功するかどうかを、行政の理論で考えるとリスクの議論になるんです。でも、そうじゃない世界でいろいろと話ができる場所でもあったので、それは自分も楽しんでやろうかなと思っていました。
Qあなたのモノサシは?
「よりレアであれ」「しない後悔より、する後悔」「時代をいきるか、時代をつくるか」
の、3つの軸が基本になっています。
Q.それぞれについて詳しく教えてください。
個人としても組織としても、日本にとっても、かもしれないですが、みんなと同じことをしている時点で、プラスの部分って薄れていくだろうなと。だから、選択肢としてできるだけ「レア」なことをやっていきたいと思っています。リスクがあるけど、誰もやったことがないなら、誰も見たことがない世界がある、という気持ちを持っています。
やるかやらないかを迷った時、やる選択をする人の方が少なそうだなと思ったら、まずします。失敗したとき大変かもしれないですけど、レアな選択だからこそ自分の蓄積になる。
公務員は、一定期間で部署移動があるという前提があります。その中で、所属以外のところで自分の価値を語る時や、他の人に与えられるものを考えた時、よりレアな経験だろうなと。都道府県の業務は基本的に法令や条例に従っているので、どこの都道府県でも、だれがやっても、同じことをしなきゃいけない世界なんです。でも判断ができる範囲であれば、よりレアなことをすることは、社会にとってプラスのメッセージが生まれてくる可能性があるんじゃないかと思っています。今の立場でできる蓄積はしていきたい。
時代を生きるか、時代を作るかについては、新しいものがいろいろ生まれてきている中で、自分はその新しいものに乗っかった上で何かをしていきたいと思っています。何か迷ったときには、時代をつくれそうかな、どうかな?で選びます。
できないことをどうやったらできるのかを考えるのがおもろい
Q.IVSはどのように関わっていますか?
クリエイティブ系を担当しました。ポスター、会場造作と、ストリーミングやマーケティングなどを全部作成しました。
Q.ポスターの作成秘話を教えてください。
250あるトークセッションのポスターすべてを「Midjourney(ミッドジャーニー)」というAIを使って生成しました。
それを「figma(フィグマ)」というデザインツールで編集して、最終的には約15万レイヤーになりました。入り口正面のポスターは、IVS2023 KYOTOとIVS Crypto 2023 KYOTOをあえてランダム化して配置しました。
Q.なぜAIを使って作成したのですか。
新しくておもろいと思ったからです。ChatGPTの「GPT-4」が登場した辺りから「ちょっとさすがにAIやばすぎるな」と思い、家に引きこもってAIをずっと触るっていうのを2週間ぐらいしていました。使っていくうちに、こういうふうに使ってこういうふうなクリエイティブも作れるっていうのは大体分かったので、それをやったらおもろいんちゃうかなと思い提案しました。
Q.ポスターの反響はありますか。
反響しかないです(笑)昭和のポスターが出てきたらIVSってみんなが分かるようになったと思います。初めは、すげえって驚いていた人も、今はもうみんな息をするようにこの昭和感が当たり前になっているので、ポスターがそのまま今回の雰囲気に繋がったのがすごい良かったかな。
Q.IVSはいつから関わっているのですか?
7年前の京都開催の時に、ボランティアスタッフとして参加したのがきっかけです。それこそ現在のIVS代表、島川さんと一緒にボランティアスタッフをしていました。京都の一乗寺の下宿から、2人でチャリで当時のIVSの会場であったウェスティンまで向かいました。
Q.何を求めてIVSヘ?
IVSは若い組織だからこそ何やっても大丈夫みたいな感じなので、とにかくおもろいからやっています。だから、前回と全く違うものを作らないといけないし、もしそれが作れなくなるんだったら僕はもうやる意味がないなと考えると思います。
Q.あなたのモノサシは?
「おもろいかどうか」
これしかないです。おもろいかどうかは直感でわかります。選択肢があったら絶対に難しい方を選びますね。難しいというのはチャレンジングな方、今までやったことない方。
僕がおもしろいと思うのは、できないことを、どうやったらできるようになるかを考えることなんです。一度やったことはできるとわかっているので、同じことを再度やるという選択はしたくないと思っています。特にIVSは、次回開催されるときに確実にレベルが上がっていることが保証されているようなものなので!
表現者たるべき人たちの舞台を
整えてあげる仕事がものすごく好き
Q.IVSとはどのように関わっていますか?
イベント実施におけるハード面、ソフト面で、縁の下のお仕事をさせていただきました。具体的には、会場全体のレイアウト設計やインフラ整備、ステージの進行やイベント運営スタッフの統括業務、会場担当者との調整業務、ゴミ処理やトイレ清掃、場外警備といった会社との調整業務などです。14社の協力会社さんとコミュニケーションをとって、IVSのイベントの場づくりを行いました。
Q.「縁の下のお仕事」をされるにあたり、意識されていることはありますか。
私が意識していたのは、イベント会場で主役として活躍するIVSのメンバーや登壇者、そしてIVSを楽しみに参加くださる皆さんが、どうやったら自分たちが表現したいことを体現できるのか、楽しめるのかというところを、対話を通じて、意見を取り入れて、最適設計していくことです。会場でそういったものを全部整えてあげて、あとはどうぞ、好きなように表現、体験してください、という状態を作ってあげることが、私のミッションかな、と考えています。
登壇者の方たちが、気持ち良くお話できる舞台を整えてあげる。IVSに参加した人たち全員が気持ちよくネットワーキングできる空間を作ってあげる。どうしたら実現できるんでしょうね、っていうところを、IVSの皆さんや様々な協力会社さんを巻き込みながら作っていきました。
Q.何を求めてIVSヘ?
IVSには、今インタビューをしてくれているお二人のような若い方が、ものすごい熱量で参加してくるんです。皆さんのような若い人は、これからの社会を、世界を作っていく人。その人たちがいま何を考えて、どんな活動をしているのかということに、非常に興味がありますね。若い人たちの感性に触れて刺激を受けながら、自分の仕事もアップデートしていきたいと常に思っているので、この仕事のやりがいというのはそこにあります。
Q.「ずっと新しいものに触れ続ける」という意識は、どこから来たんでしょうか?
イベントの主役である登壇者や参加者の「こういう場が作りたい」「こういうイベントに参加したい」という顕在化しているアイデアや、潜在化しているモヤモヤした意識に、私自身が見聞きしたり、感じたりできないと、うまくコミュニケーションができなくなってしまいます。また今回のIVSの主役たる若い人たちが、どういうカルチャーに触れて、何を求めているのかっていうことをきちんと理解できないと、最適な舞台が整わないと思うんです。そうした若い人たちとのコミュニケーションによって、新しいものに触れつづけ、自分自身をアップデートしていく。これから世の中で求められてる舞台って、そういう中で作られて然るべきだと思っています。
Q.あなたのモノサシは?
「自分がそれを本当にやりたいと思っているか」
自分がやりたくないことをするのは人生の中で無駄だと思っているので、自分がやりたいと思っていることを基準に仕事を選んでいます。私がやりたいと思う仕事は、何か目標を達成したいと考えている人が、そこに近づくための場所を作ることや、そのために伴走することです。
大学時代はスポーツクラブのインストラクターのアルバイト、社会人になってからは、ラジオ番組の制作、広告代理店でのイベントプランニング、今の会社でのイベントプロデュースとキャリアチェンジを重ねてきました。人の目標達成の役に立つサポートをする、ということが、自分のキャリアを通して共通して言えることなのかなと。
そのことが社会をより良くしていくと信じています。何かを達成することで社会に役立つという人がいたら、その舞台をきちんと整えてあげる人もやっぱり同時に必要で、その舞台を整えてあげるっていう仕事に、私はとても魅力を感じているのだと思います。
常に挑戦し、常に進化を続けるIVS。
その裏側には、IVSを最前線で創り上げる運営メンバーの熱い想いと、揺らがないモノサシがあることがわかりました。
最高におもしろいものを、心の底から好きなものを、そんな純粋な気持ちがIVSという日本で、アジアで、世界で唯一無二の場所をつくっているのだと再確認しました。
「知ろう!」
「面白いことがあったらできるだけ行く。」
「常に自分から動いて、常に成長できる機会を取りに行く。」
「明るく、元気に、笑顔で行動していく。」
「自分が頑張れると思うものを続ける」
「自分は世の中のなしをありに変えるような存在になりたい」
「おもろいかどうか」
「自分がやりたいと思っているか」
今回のIVS特集の中で、こんなにもたくさんのモノサシが集まりました。
一つでも心に響くモノサシがあなたに届いていれば嬉しいです。
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IVS2023 KYOTO特集の各記事はこちらから!
【IVS2023 KYOTO特集①】IVS2023 KYOTOの創り手は、何を求めてIVSヘ?〜ボランティアスタッフ編〜はこちら
【IVS2023 KYOTO特集②】IVS2023 KYOTOの創り手は、何を求めてIVSヘ?〜京都に関わる人編〜はこちら
MONOSASHI編集長・HI合同会社インターン / 松井瞳